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NPO法人不動産トラブル解決センター 相談員 田中です。

もしかして騙されたかもしれない」——不動産投資の相談で、こうした不安を口にされる方が増えています。

当センターに寄せられる相談の中でも、「営業マンの説明と実態が違う」「契約を急かされてサインしてしまった」「後から考えるとおかしな点が多い」といった声は少なくありません。

不動産投資の世界には、明確な詐欺から、法律のグレーゾーンを突いた「詐欺まがい」の行為まで、さまざまな手口が存在します。被害に遭わないためには、手口を事前に知っておくことが最大の防御策です。

この記事では、当センターが実際の相談事例から把握している不動産投資詐欺の手口8つと、万が一被害に遭った場合の具体的な対処法を解説します。

この記事でわかること

不動産投資詐欺の手口8選

手口① 手付金詐欺

「人気物件なのですぐに手付金を入れないと他の人に取られます」と急かし、手付金を受け取った後に連絡が取れなくなる手口です。手付金だけ騙し取られ、物件は手に入りません。

実際の相談事例:「条件の良い物件を紹介され、300万円の手付金を振り込んだ。その後、不動産会社に連絡がつかなくなり、事務所を訪ねたら既に退去していた」

見抜くポイント:契約を異常に急かす業者は要注意です。「今日中に決めてください」「他にも買いたい人がいます」といった言葉で判断を急がせる業者とは取引しないでください。信頼できる会社は、検討する時間を十分に与えてくれます。

手口② 入居状況偽装(満室偽装)

一時的にサクラの入居者を入れて「満室」を装い、高い利回りを見せかけて物件を売りつける手口です。購入後すぐに退去が相次ぎ、実際はほとんど空室だったことが判明します。

実際の相談事例:「満室で利回り8%と説明されて購入。しかし3ヶ月以内に入居者が全員退去し、実態は空室率80%だった。入居者の入居時期を確認すると、購入直前に一斉入居していた」

見抜くポイント:入居者の入居時期と契約期間を必ず確認してください。直近1〜2ヶ月以内に複数の入居者が一斉に入っている場合は警戒が必要です。また、レントロール(賃貸借条件一覧表)を要求し、各入居者の契約開始日をチェックしましょう。

手口③ 二重譲渡

同じ物件を複数の買主に同時に売却する手口です。法的には先に登記を完了した者が所有権を主張できるため、登記が遅れた側は物件もお金も失うことになります。

見抜くポイント:契約後は速やかに所有権移転登記を行ってください。また、決済の直前に法務局で最新の登記簿謄本を取得し、売主が本当にその物件の所有者であるか確認することが重要です。

手口④ 二重売買契約(契約書偽装)

実際の売買価格より高い金額を記載した契約書を金融機関に提出させ、過大な融資を引き出す手口です。不動産業者から「審査を通りやすくするため」と説明されますが、これは融資詐欺に加担する行為であり、発覚すれば一括返済を求められるだけでなく、刑事責任を問われるリスクもあります。

見抜くポイント:複数の契約書への署名を求められたら、絶対に応じないでください。「よくある手法」「みんなやっている」と言われても、違法行為であることに変わりありません。

手口⑤ デート商法(ロマンス詐欺)

マッチングアプリや婚活サイトで知り合った相手から、親密な関係になった段階で不動産投資を勧められるケースです。恋愛感情を利用して断りにくい状況を作り出し、高額な物件を購入させます。

見抜くポイント:出会い系やSNSで知り合った人からの投資話は、まず疑ってください。2019年の消費者契約法改正により、デート商法による契約は取り消しが可能になっています。被害に遭ったと感じたら、早めに弁護士に相談してください。

手口⑥ 海外不動産投資詐欺

「東南アジアの成長市場で高利回り」「海外リゾートの物件に投資すれば確実に値上がりする」とうたい、実態のない海外物件や、実際の価値よりはるかに高い価格で販売する手口です。現地確認が困難なことを悪用しています。

見抜くポイント:海外不動産は必ず現地を自分の目で確認してください。また、「絶対儲かる」という断定は宅建業法で禁止されている不確実な事項の断定的判断の提供にあたります。

手口⑦ 一法人一物件スキーム

物件を購入するたびに新しい法人を設立し、他の法人での借入を金融機関に隠して融資審査を通す手法です。不動産業者から「節税にもなる」と勧められることがありますが、金融機関に発覚すれば全法人分の融資が即時停止され、一括返済を求められます。詐欺罪として刑事告訴されるリスクもあります。

見抜くポイント:「特別なスキーム」「裏技」を持ちかける業者は信用しないでください。合法的な方法で融資が通らないのであれば、その投資は身の丈に合っていないということです。

手口⑧ 「元本保証」をうたう勧誘

不動産投資に元本保証はありません。しかし「元本保証みたいなもの」「実質的に保証されている」「家賃保証があるから安心」といった曖昧な表現で、あたかも損失がないかのように勧誘する業者がいます。

見抜くポイント:不動産投資はあくまで「投資」であり、元本割れのリスクが存在します。「保証」という言葉の具体的な内容(何をどこまで保証するのか、減額や解約の条件はあるのか)を必ず確認してください。

▶ 元本保証問題の詳細はこちら:「元本保証みたいな説明」は違法なのか?

「詐欺」と「詐欺まがい」の違い

上記の手口のうち、手付金詐欺や二重譲渡は明確な「詐欺」として刑事罰の対象になります。一方、「説明不足」「都合の良い情報だけ伝える」「リスクを軽く見せる」といった行為は、法的にはすぐに「詐欺」と認定されるとは限りません。

しかし、宅建業法では「重要事項の説明義務」「不確実な事項の断定的判断の提供の禁止」が定められており、これらに違反する行為は行政処分の対象になります。「詐欺とまでは言えないけど、おかしい」と感じたら、その感覚は正しいことが多いです。早めに第三者に相談してください。

悪質な不動産業者に共通する5つの特徴

当センターへの相談事例を分析すると、悪質な業者には共通するパターンがあります。以下のいずれかに該当する場合は警戒してください。

特徴①:「絶対儲かる」「リスクはない」と断言する

不動産投資にリスクゼロはありえません。リスクを正直に説明しない業者は信用できません。

特徴②:契約を急かす

「今日中に決めてください」「明日には別の人が買います」と判断を急がせる業者は、冷静に比較検討されると困る理由があります。

特徴③:メリットしか説明しない

空室リスク、家賃下落リスク、修繕費の増加、金利上昇リスクなどのデメリットを一切説明しない業者は、重要事項説明義務に違反している可能性があります。

特徴④:質問に対して曖昧な回答しかしない

具体的な数字や根拠を求めても「だいたいこのくらい」「一般的に」としか答えない業者は、正確な情報を持っていないか、あえて隠している可能性があります。

特徴⑤:事務所の実態が不透明

宅建業の免許番号を確認できない、事務所の所在地がバーチャルオフィス、会社の設立年数が極端に短いなどの場合は注意が必要です。国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で免許番号を確認できます。

被害に遭ったときの対処法

「もしかして詐欺かもしれない」と感じたら、以下の順序で行動してください。

ステップ1:証拠を保全する

契約書、パンフレット、メール、LINEのやり取り、営業マンとの会話の録音など、手元にある資料をすべて保管してください。削除やシュレッダーは絶対にしないでください。後日の交渉や法的手続きで最も重要な武器になります。

ステップ2:利害関係のない第三者に相談する

当センター(NPO法人不動産トラブル解決センター)や消費者ホットライン(188)に相談し、状況を客観的に判断してもらいましょう。

ステップ3:弁護士に相談する

法的な対応が必要と判断された場合は、不動産投資トラブルに強い弁護士に相談してください。法テラス(0570-078374)を利用すれば、条件を満たせば無料で弁護士相談を受けられます。

ステップ4:行政機関に報告する

悪質な業者の情報は、宅地建物取引業保証協会や都道府県の不動産業課に報告してください。報告が蓄積されることで、業者への指導や免許取消につながる場合があります。

ステップ5:必要に応じて警察に被害届を出す

明確な詐欺被害(手付金の持ち逃げ、書類の偽造など)の場合は、警察に被害届を提出してください。警察相談専用電話は#9110です。

▶ 相談先の詳細はこちら:不動産投資トラブルの相談先一覧|無料で使える6つの窓口

契約前に必ず確認すべきチェックリスト

不動産投資の契約書にサインする前に、以下の項目を確認してください。1つでも「いいえ」がある場合は、契約を保留して第三者に相談することをお勧めします。

よくある質問(FAQ)

Q. 「詐欺かもしれない」と思うのですが、確信が持てません。相談してもいいですか?

もちろんです。「詐欺かどうかわからない」という段階でも相談してください。むしろ、早い段階で相談する方が選択肢が多く、被害を最小限に抑えられます。当センターでは「これは詐欺かどうか」の判断のお手伝いもしています。

Q. 契約してしまった後でも取り消せますか?

条件によっては可能です。不動産会社の事務所以外(喫茶店、自宅など)で契約した場合はクーリングオフが適用される可能性があります。また、消費者契約法に基づく取り消しは契約から最大5年間認められます。詳しくは弁護士にご確認ください。

Q. 営業電話がしつこくて困っています。法的に止める方法はありますか?

宅建業法では、相手方が契約を締結しない旨の意思を表示した場合、再度の勧誘は禁止されています。「必要ありません」と明確に伝えた上で、それでも電話が続く場合は、宅地建物取引業保証協会や都道府県の不動産業課に通報してください。業者への指導が行われます。

Q. 証拠がないのですが、対処できますか?

証拠が少なくても、契約書や物件の情報など手元にあるものだけで対応できるケースもあります。また、今からでも営業担当者とのやり取りをメールやLINEで記録に残す(電話ではなく文面で確認する)ことで証拠を作ることは可能です。まずは弁護士に相談してみてください。

まとめ|「知っている」だけで被害は防げる

不動産投資詐欺の被害者の多くは、「知っていれば防げた」と振り返ります。手口を知っているだけで、おかしな業者に出会ったときに「何かがおかしい」と気づけるようになります。

もし今、少しでも「おかしい」と感じていることがあれば、それは正しい感覚です。その感覚を無視せず、まずは第三者に相談してください。


NPO法人不動産トラブル解決センター


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この記事の内容は2026年3月時点の情報に基づいています。法律や制度は変更される可能性があるため、最新情報は各公的機関の公式サイトでご確認ください。

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