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「やめたい。でも、ここまでつぎ込んだお金がもったいない」——当センターへの相談で、最も多く聞く言葉のひとつです。この「もったいない」という感情が、合理的な判断を妨げ、損失をさらに拡大させています。
「もったいない」は脳のバグ
すでに使ったお金のことを「サンクコスト(埋没費用)」と呼びます。行動経済学では、人間はサンクコストに囚われて非合理的な判断をすることが実証されています。
例えば、映画館で1,800円払って映画を観始めたが、30分で「つまらない」と気づいた。この場合、最も合理的な判断は「席を立つ」ことです。しかし、多くの人は「1,800円払ったのにもったいない」と思い、つまらない映画を最後まで観続けます。
しかし、1,800円はすでに失われています。席を立とうが最後まで観ようが、1,800円は戻りません。つまらない映画を2時間観続けることで失われるのは「さらに1.5時間の時間」です。
不動産投資でも全く同じことが起きています。
不動産投資のサンクコスト
「もったいない」と感じるのは以下のようなケースです。
- 「頭金200万円を入れた。今さらやめたらこの200万円が無駄になる」
- 「3年間毎月2万円持ち出した。72万円つぎ込んだのに今やめるのは」
- 「仲介手数料も払った。登記費用も払った。全部無駄になる」
しかし、これらのお金はすでに失われています。今やめようが、5年持ち続けようが、このお金は戻りません。
重要なのは、「これまでいくら使ったか」ではなく「今からいくら失うか」です。
「もったいない」で判断すると何が起きるか
具体的な数字で見てみましょう。
【状況】
- これまでの累計持ち出し:72万円(3年間×月2万円)
- 今売った場合の売却損:150万円
- 今後持ち続けた場合の持ち出し:月2万円 × 60ヶ月 = 120万円
- 5年後の物件価格下落リスク:さらに50〜100万円
「もったいない」で持ち続けた場合:累計72万円+今後120万円+価格下落50〜100万円 = 合計242〜292万円の損失
今やめた場合:累計72万円+売却損150万円 = 合計222万円の損失
「もったいない」で持ち続けると、やめた場合よりも20〜70万円多く損をするのです。
→ 「損切りタイミング|3つの判断基準」をご覧ください。
「もったいない」を克服する3つの考え方
考え方①:「すでに失ったお金」と「これから失うお金」を分ける
紙の真ん中に線を引いて、左に「すでに失ったお金」、右に「これから失うお金」を書いてください。判断基準にすべきは右側だけです。左側は判断から除外してください。
考え方②:「同じ金額を今日から始めるか?」と自問する
もしあなたがこの物件を持っていなかったとして、「今日、この物件を今の条件で購入しますか?」と聞かれたら、おそらく「買わない」と答えるはずです。
「買わない」と判断するものを、「すでに持っているから」という理由で持ち続けるのは合理的ではありません。
考え方③:「5年後の自分」に聞いてみる
5年後のあなたは、今の自分にこう言うはずです。「なぜ5年前にやめなかったんだ。5年分の持ち出し、合計120万円を無駄にしたじゃないか」
未来の自分を後悔させないために、今行動してください。
やめた人は「もったいない」をどう乗り越えたか
Aさん(30代)
「売却損150万円が怖くて1年悩んだ。でも相談で『1年悩んでいる間に24万円持ち出してるんですよ』と言われてハッとした。悩んでいる時間にもお金がかかっていると気づいた。」
Bさん(40代)
「売った直後は『150万円損した』と落ち込んだ。でも3ヶ月後には毎月2万円の引き落としがなくなった安心感の方がはるかに大きかった。150万円は『安心を買った代金』だと思っている。」
→ 「やめてよかった人の体験談」をご覧ください。
→ 「損失を最小化する5つのステップ」もあわせてご覧ください。
まとめ:「もったいない」は、もっと損をさせる感情
「もったいない」という感情は自然なものです。しかし、その感情に従うと、結果的にもっと大きな損失を生みます。
すでに失ったお金は戻りません。しかし、これから先に失うお金は、今日の判断で防ぐことができます。
感情ではなく、数字で判断してください。そして、ひとりで判断が難しければ、専門家の力を借りてください。
→ 「やめたい人が取るべき5つの行動」をご覧ください。
→ 「成功と失敗の決定的な差」も参考にしてください。
「もったいない」で動けないでいる方へ
NPO法人不動産トラブル解決センターでは、不動産投資のお悩みについて無料でご相談をお受けしています。「数字を整理して、本当にもったいないのか確認したい」——そんなご相談も歓迎です。