NPO法人不動産トラブル解決センターの田中です。
今回は、当センターに寄せられる相談の中でも最も緊急性が高い「ローンを滞納したらどうなるのか」について、督促から競売までの流れと、各段階でできる対処法を時系列で解説します。
ローン滞納は「段階的に」進行する
不動産投資のローン返済が苦しくなったとき、最も怖いのは「何が起きるかわからない」ことです。しかし、ローン滞納から競売までには明確な段階があり、各段階で取れる対処法も異なります。
重要なのは、早い段階で行動するほど選択肢が多いということです。「まだ大丈夫」と先延ばしにするほど、状況は悪化します。
※不動産投資トラブルの全体像については「不動産投資の失敗パターン全12選【2026年完全ガイド】」をご覧ください。
滞納から競売までの時系列
【滞納1ヶ月目】金融機関からの電話・書面での督促
最初の返済が遅れると、金融機関から電話や書面で督促が届きます。この段階では「うっかり忘れ」として処理されることもあり、すぐに支払えば大きな問題にはなりません。
この段階でできること:すぐに支払う。支払いが難しい場合は、この時点で金融機関に連絡し、返済条件の変更(リスケジュール)を相談する。滞納前の相談と滞納後の相談では、金融機関の対応が大きく変わります。
【滞納2〜3ヶ月目】催告書・督促状が届く
滞納が2ヶ月以上続くと、より厳しい内容の催告書や督促状が届きます。「○月○日までに支払わなければ法的措置を取ります」といった文言が含まれることもあります。
この段階で信用情報(いわゆるブラックリスト)に事故情報が登録されます。これにより、新たなローンやクレジットカードの利用が困難になります。
この段階でできること:金融機関にリスケジュールを相談する。物件の売却を検討する。専門家に相談する。→ 「不動産投資の借金が返せない|破綻する前にできること」をご覧ください。
【滞納3〜6ヶ月目】期限の利益の喪失
滞納が一定期間続くと、金融機関から「期限の利益の喪失」を通告されます。これは、分割返済の権利を失い、ローンの残額を一括で返済するよう求められることを意味します。
当然、数千万円のローンを一括返済できる方はほとんどいません。この時点で、金融機関は債権を保証会社やサービサー(債権回収会社)に移管することが多いです。
この段階でできること:任意売却の検討。任意売却であれば、競売よりも高い価格で売却でき、残債の分割返済を交渉できる可能性があります。→ 「任意売却とは?」をご覧ください。
【滞納6〜12ヶ月目】競売の申立て・開始決定
任意売却に応じない場合や、任意売却が成立しない場合、金融機関(または保証会社・サービサー)は裁判所に競売の申立てを行います。
裁判所が競売開始決定を出すと、物件に差押えの登記がなされます。この時点から、物件を自由に売却することが非常に難しくなります。
裁判所から執行官が物件の調査に来ます(現況調査)。この調査は拒否できません。
【滞納12〜18ヶ月目】競売の実施・落札
物件の評価が行われ、裁判所のウェブサイト(BIT)に競売情報が公開されます。入札期間が設定され、最も高い金額を入れた人が落札します。
競売での売却価格は、一般的に市場価格の60〜70%程度です。つまり、任意売却で売れた場合よりも大幅に低い金額になります。
【落札後】引渡し・残債の請求
落札者が代金を納付すると、物件の所有権が移転します。入居者がいる場合は退去が必要になります。
競売で得られた金額がローン残高に満たない場合、差額は引き続き返済義務が残ります。競売で物件を失った上に、借金だけが残る——これが最悪のシナリオです。
競売と任意売却の比較
- 売却価格:競売は市場価格の60〜70%、任意売却は市場価格に近い金額
- プライバシー:競売は裁判所のサイトに物件情報が公開される、任意売却は通常の売買として処理
- 残債の交渉:競売後は一括返済を求められることが多い、任意売却後は分割返済の交渉が可能
- 引越し費用:競売では原則自己負担、任意売却では買主との交渉で引越し費用を確保できる場合がある
あらゆる面で、任意売却の方が競売よりも有利です。競売になる前に任意売却を検討することが重要です。
投資用ローンと住宅ローンの違い
注意すべきは、投資用不動産のローンは住宅ローンよりも金融機関の対応が厳しい傾向にあるということです。
住宅ローンの場合、「自宅を失う」という社会的影響が大きいため、金融機関もある程度柔軟に対応してくれることがあります。しかし、投資用ローンは「投資判断の結果」とみなされるため、リスケジュールの交渉が通りにくい場合があります。
だからこそ、滞納する前の段階で早めに動くことが決定的に重要なのです。
絶対にやってはいけないこと
- 督促を無視する:無視しても状況は悪化するだけ。遅延損害金が膨らみ、競売までの時間が短くなる
- 消費者金融で補填する:金利15〜18%の借金で数千万円のローンを補填するのは自殺行為
- 家族に隠し続ける:競売になれば必ず発覚する。早い段階で共有した方が対策の幅が広がる
- 「いつか入居者が決まれば」と楽観する:根拠のない楽観で時間を浪費するのは最も危険
まとめ:滞納する前が「最後のチャンス」
ローンの返済が苦しいと感じた時点で、すでに危険信号です。滞納する前に行動すれば、リスケジュール、売却、任意売却など複数の選択肢があります。
しかし、滞納が進むにつれて選択肢は急速に狭まり、最終的には競売という最悪の結末を迎えることになります。
「まだ大丈夫」と思っている今が、相談のベストタイミングです。
→ オーバーローンの対処法は「不動産投資をやめたいのに売れない|オーバーローンの対処法」をご覧ください。
→ 相談先は「不動産投資トラブルの相談先一覧」をご覧ください。
ローン返済でお悩みの方へ
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