NPO法人不動産トラブル解決センターの田中です。
今回は、今まさに多くの不動産投資家が直面している「金利上昇リスク」についてお話しします。
金利が上がると、不動産投資はどうなるのか
日本銀行の金融政策の転換により、長く続いた超低金利時代が終わりを迎えつつあります。これまで「低金利だから有利」と言われてきた不動産投資ですが、金利が上昇すれば状況は一変します。
当センターにも「変動金利で借りているが、返済額が増えたらどうしよう」「金利が上がったら持ち出しが増えて耐えられない」といったご相談が増えてきています。
この記事では、金利上昇が不動産投資に与える影響と、変動金利で借りている方が今やるべきことを解説します。
※不動産投資トラブルの全体像については「不動産投資の失敗|トラブル・詐欺の実態と対処法【2026年完全ガイド】」をご覧ください。
変動金利の仕組みと「5年ルール」「125%ルール」
投資用不動産ローンの多くは変動金利で組まれています。変動金利は半年に1回、金利が見直されますが、注意すべきポイントがあります。
住宅ローンとの違い
自宅用の住宅ローンには、金利が上昇しても5年間は返済額が変わらない「5年ルール」や、返済額の上昇幅を従来の125%までに抑える「125%ルール」が適用されることが多いです。
しかし、投資用不動産ローンにはこれらのルールが適用されないケースが多く、金利が上がればダイレクトに返済額が増加します。
金利1%上昇のインパクト
具体的な数字で見てみましょう。2,500万円を35年返済で借りた場合、金利が変わると月々の返済額は以下のように変化します。
- 金利1.5%:月額約76,500円
- 金利2.0%:月額約82,800円(+6,300円)
- 金利2.5%:月額約89,400円(+12,900円)
- 金利3.0%:月額約96,200円(+19,700円)
金利が1.5%上がるだけで、月々の返済額は約2万円増加します。年間にすると約24万円。もともと収支がギリギリの物件であれば、致命的なダメージになりかねません。フルローンで購入された方は特にリスクが高く、詳しくは「不動産投資の自己資金ゼロはなぜ危険?」をご覧ください。
金利上昇が不動産投資に与える3つの影響
影響①:毎月の返済額が増え、キャッシュフローが悪化する
最も直接的な影響です。家賃収入は金利に連動して上がるわけではないため、返済額だけが増え、手残りが減る(または赤字が拡大する)ことになります。
すでに毎月の持ち出しがある方にとっては、金利上昇で赤字幅がさらに広がる深刻な問題です。
影響②:物件の売却価格が下がる可能性
金利が上がると、新たに物件を購入する投資家の借入コストも上がります。その結果、投資家が出せる購入価格が下がり、不動産の市場価格も下落圧力を受けることになります。
つまり、「金利が上がって返済がきつくなったから売ろう」と思っても、売却価格も下がっている可能性があるのです。
影響③:オーバーローン状態が悪化する
物件価格が下落する一方でローン残高はなかなか減らないため、売却してもローンを完済できない「オーバーローン状態」がさらに深刻化します。身動きが取れなくなる前に、早めの対策を検討することが重要です。
変動金利で借りている人が今やるべき5つのこと
1. 現在の金利と返済条件を正確に確認する
まず、自分のローンの現在の金利、返済残高、残りの返済期間を正確に把握しましょう。ローンの返済予定表(償還表)を確認し、金利が上がった場合のシミュレーションを行ってください。
2. 金利上昇時の収支シミュレーションをする
金利が+0.5%、+1.0%、+1.5%になった場合、月々の返済額はいくらになるか。その場合のキャッシュフローはプラスを維持できるか。最悪のシナリオでも耐えられるかどうかを確認しましょう。実質的な収支の考え方は「ワンルームマンション投資の実質利回り計算方法」も参考にしてください。
3. 固定金利への借り換えを検討する
今後さらなる金利上昇が予想される場合、変動金利から固定金利へ借り換えることで返済額を確定させるという選択肢があります。ただし、借り換えには手数料がかかるため、トータルコストで比較することが重要です。
4. 繰上返済で元本を減らす
手元に余裕資金がある場合は、繰上返済で元本を減らすことで金利上昇のインパクトを軽減できます。元本が減れば、金利が上がっても返済額の増加幅を抑えることができます。
5. 売却のタイミングを検討する
金利がさらに上昇する前に売却するという判断も選択肢のひとつです。物件価格が下がりきる前に動くことで、損失を最小限に抑えられる可能性があります。売却の判断基準については「不動産投資をやめたい人が今すぐ取るべき5つの行動」をご参照ください。
「金利が低いから安心」は過去の話
不動産投資の営業では「今は金利が低いからチャンスです」というトークが定番でした。しかし、低金利は永遠に続くものではありません。
特に問題なのは、購入時のシミュレーションが「現在の低金利が続く前提」で作られていた場合です。営業マンから「金利が上がった場合のリスク」を説明されていなかった方は、今こそ自分で収支を見直すタイミングです。
まとめ:金利上昇時代の不動産投資は「守り」が大事
金利上昇局面では、不動産投資は「攻め」よりも「守り」が重要になります。今のうちに現状を正確に把握し、最悪のシナリオに備えた対策を講じておくことが大切です。
すでに返済に不安を感じている方、金利上昇で収支が悪化した方は、問題が深刻化する前に早めの相談をお勧めします。返済が完全に行き詰まった場合の選択肢として「任意売却とは?」も知っておいてください。
金利上昇でローン返済にお悩みの方へ
NPO法人不動産トラブル解決センターでは、金利上昇による不動産投資の返済問題について無料でご相談をお受けしています。「返済額が増えて苦しい」「売却か保有か判断がつかない」など、おひとりで抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。