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今回は、不動産投資で「騙された」と感じたときに、契約の取消しや損害賠償を求めるための具体的な方法をお伝えします。
「騙された」は法的に争える可能性がある
「営業マンの説明と実態が違った」「嘘の説明で契約させられた」——当センターにはこうした相談が数多く寄せられます。
多くの方が「自分が悪かった」「騙された自分が情けない」と自分を責めますが、法的には営業側に責任がある場合が少なくありません。
不動産投資における「騙された」というケースでは、消費者契約法、宅建業法、民法などを根拠に、契約の取消し、解除、または損害賠償請求が認められる可能性があります。
※不動産投資トラブルの全体像については「不動産投資の失敗パターン全12選【2026年完全ガイド】」をご覧ください。
契約取消し・解除に使える法律
① 消費者契約法
消費者契約法は、事業者と消費者の間の情報・交渉力の格差を是正するための法律です。以下のケースに該当する場合、契約を取り消すことができます。
不実の告知(第4条第1項第1号)
重要事項について事実と異なることを告げた場合。例:「この物件は必ず値上がりする」「家賃は絶対に下がらない」「元本保証と同じ」
断定的判断の提供(第4条第1項第2号)
将来の変動が不確実な事項について断定的な判断を提供した場合。例:「確実に利益が出る」「リスクはゼロ」
不利益事実の不告知(第4条第2項)
利益となる旨を告げながら、それに関連する重要な不利益事実を故意に告げなかった場合。例:家賃保証の減額リスクを説明しなかった
不退去・退去妨害(第4条第3項)
消費者が帰りたいと言っているのに帰さなかった、または事業者の事務所で退出させなかった場合
取消権の行使期限:追認できるときから1年間、契約締結時から5年間
② 宅地建物取引業法(宅建業法)
宅建業者に対しては、以下の規制があります。
- 重要事項の説明義務(第35条):契約前に、物件の重要事項を書面で説明する義務
- 不当な勧誘の禁止(第47条):重要な事実の不告知、不実の告知の禁止
- 再勧誘の禁止(第47条の2):断った相手への再勧誘の禁止
- クーリングオフ(第37条の2):事務所以外での契約は8日以内に撤回可能
→ クーリングオフの詳細は「不動産投資のクーリングオフ」をご覧ください。
③ 民法(不法行為・債務不履行)
詐欺(民法第96条)に該当する場合は契約の取消しが可能です。また、説明義務違反による不法行為(第709条)を根拠に損害賠償を請求できる場合もあります。
契約取消し・損害賠償請求の具体的な進め方
ステップ1:証拠を集める
法的に争うためには証拠が不可欠です。以下の資料を可能な限り集めてください。
- 契約書・重要事項説明書:最も基本的な書類
- 営業資料・パンフレット:利回りシミュレーション、「年金代わり」等の記載
- メール・LINE・SMSのやり取り:営業マンとのコミュニケーション記録
- 録音データ:営業時の会話を録音していれば非常に強い証拠になる
- 名刺:営業担当者の情報
- 振込記録・領収書:手付金、諸費用の支払い記録
- セミナー資料・アンケート:セミナー参加がきっかけの場合
証拠がなくても相談は可能ですが、あればあるほど有利です。今手元にある資料はすべて保管してください。
ステップ2:専門家に相談する
証拠を集めたら、以下の順序で相談することをお勧めします。
①まずNPO法人で状況を整理
当センターのようなNPO法人で、状況を客観的に整理してもらいます。法的に争えるケースかどうか、どの法律が使えるか、弁護士に依頼すべきかどうかの初期判断ができます。無料で相談できます。
②必要に応じて弁護士に依頼
法的対応が必要と判断された場合、不動産トラブルに強い弁護士をご紹介します。弁護士費用は事務所によって異なりますが、着手金20〜50万円、成功報酬は回収額の10〜20%程度が一般的です。
→ 相談先の選び方は「不動産投資トラブルの相談先一覧」をご覧ください。
ステップ3:交渉または法的手続き
弁護士を通じて、以下のいずれかの方法で解決を目指します。
(A)示談交渉
裁判を起こさず、弁護士が相手方と直接交渉する方法。費用と時間が最も少なく済みます。相手方が交渉に応じれば、数ヶ月で解決することもあります。
(B)調停
裁判所の調停委員を介して話し合う方法。示談交渉がまとまらない場合に検討します。
(C)訴訟(裁判)
最終手段。示談や調停で解決しない場合に提起します。判決まで1〜2年かかることが一般的です。
ステップ4:行政機関への通報
法的手続きと並行して、以下の行政機関への通報も有効です。
- 免許権者(国交省・都道府県)への通報:宅建業法違反があれば、業務停止や免許取消などの行政処分に繋がる可能性
- 消費者センターへの相談:消費者ホットライン「188」
- 警察への被害届:明確な詐欺行為がある場合
よくある「騙された」ケースと使える法律
- 「絶対に儲かる」と言われた → 消費者契約法・断定的判断の提供
- 「家賃は下がらない」と言われた → 消費者契約法・不実の告知
- サブリースの減額リスクを説明されなかった → 消費者契約法・不利益事実の不告知
- 「帰りたい」と言ったのに帰してもらえなかった → 消費者契約法・不退去
- 事務所以外の場所で契約させられた → 宅建業法・クーリングオフ
- 重要事項の説明がなかった → 宅建業法・説明義務違反
- 源泉徴収票を改ざんされた → 刑法・文書偽造(警察案件)
→ 詐欺の手口の詳細は「不動産投資詐欺の手口8選」をご覧ください。
→ 元本保証の説明については「「元本保証みたいな説明」は違法なのか?」をご覧ください。
注意点:時効に気をつける
法的手段には時効(行使期限)があります。
- 消費者契約法の取消権:追認できるときから1年、契約から5年
- 民法の詐欺取消権:追認できるときから5年、契約から20年
- 不法行為の損害賠償請求権:知ったときから3年、不法行為から20年
「時間が経っているから無理だろう」と諦めず、まずは専門家に確認してください。まだ間に合う場合もあります。
まとめ:「騙された」で終わらせない
不動産投資で騙されたと感じている方の多くが、「自分が悪かった」と泣き寝入りしています。しかし、法律はあなたの味方です。
消費者契約法、宅建業法、民法——これらの法律は、まさにこうした状況のために存在しています。
大切なのは、証拠を保全し、時効が来る前に行動すること。そして、利害関係のない専門家に相談すること。
「騙された」で終わらせず、取り戻せるものは取り戻しましょう。
「騙されたかもしれない」と感じている方へ
NPO法人不動産トラブル解決センターでは、不動産投資の契約トラブルについて無料でご相談をお受けしています。「契約を取り消せるか知りたい」「どんな証拠が必要か教えてほしい」「弁護士に依頼すべきか判断がつかない」など、まずはお気軽にご相談ください。